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SOUND×VISION 2004
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9月11日(土)〜10月3日(日)※総会期:2004年9月〜12月 全国合計で約64日間
graf media gm (大阪市北区中之島4-1-17 瑛長ビル1F)
無料
グラフメディア・ジーエム tel:06-6459-2082 e-mail:gm@graf-d3.com
http://www.hellogas.com/sxv/index.html
サウンドとヴィジュアルの現在、そして未来へ

Text 針谷周作(SALON)

「僕が作品を作り上げるときには、既存の音楽をサンプリングする。コンセプトによって、新たなものが出来上がるんだ。なぜ僕が音楽やサウンドを作るのかといえば、形を変える《TRANSFORM》ことに興味があるからだ。既存の音楽を参考にしながらも、その形を変えるんだよ。」(ヤン・イエリネック インタビュー 『サウンド バイ ヴィジョン 2004』より)
 20世紀のテクノロジーの進化は、人間の生活に大きな変革をもたらしました。特に1877年、エジソンによって発明されたろう管式蓄音機の登場は、機械を介した音楽の記録と再生を可能にしました。その発明から100年以上経過した現在、過去からは想像すらできなかった音楽の記録手段によって、過去の文化的遺産が保存されています。もちろん、ここ数年のテクノロジーの進化は、制作者側にとっても革命的な出来事でした。蓄音機の発明から、様々な音色を紡ぎだすシンセサイザーが生まれ、それは時代とともに安価かつ使いやすいものとなり市場に出回るようになりました。かつては高価で手に入れることのできなかったマシンを、ストリートレベルのアーティストたちが使えるようになり、そこにはアカデミック、ストリートという枠を越え、あるソフトについてインターネット経由で議論がはじまり、誰かが編み出した制作方法における新しいティップスを紹介したりと、楽譜上で構築される音楽とはまったく異なる思考法と、なおかつ刺激的で新しいサウンドが生まれてきたのです。
 その時期を同じくして注目されたのが映像です。エレクトロニック系のイベントには、もはや欠かせなくなったのが音楽をより盛り上げるための映像、いわゆるVJの存在です。特にDJ系のイベントでは、照明と同様に映像が会場の臨場感を盛り上げます。しかしながら、それほどこれまでは重視されてこなかったVJは、その質や音楽とのマッチングを無視したものが少なからずあったといっても過言ではありませんでした。ある時、ある音楽家が、音楽と映像を同時に自分でやってみてはどうかと考えました。「このベースのリズムが刻まれるときにはこのエフェクターのパラメータを、この周波数が出たときは、映像をAからBへとスイッチさせよう。」という具合に。テクノロジーの進化は、メディアを超え、クリエイターに大きな可能性と機会を与えてくれました。上記のようなプロセスを踏んだ一人であるオランダのTELCOSYSTEMSは、音と映像の関係性についてこう語っています。「このコラボレーションの目的は、音と映像の新しい表現方法を模索することにあった。デジタル機器の中でも、特にコンピュータをタイプライターというより、楽器のように使ってね」(テルコシステムズ=ギデオン・キアーズ)。
 もちろん、ここで重要なのは机上で音と映像の可能性を探ることではなく、サウンドとヴィジュアルをアクチュアルに「体験」することです。実際にサウンドの可能性をヴィジュアルとの融合で試みるイベント「ソニックアクト」*のオーガナイズも行う彼らの発言は、最先端の芸術という意味で説得力があります。現在のVJやDJは、私たち観客が思う以上に映像や音楽というジャンル内のみで完結している訳ではありません。音楽をやりながら、自分たちの音楽にあったヴィジュアルを思い浮かべていたり、映像をコントロールしながら独自のリズムを刻んでいたりと、音楽を視覚化し、映像を音楽化するという思考法を感覚的に身につけているのではないでしょうか?
 《サウンド バイ ヴィジョン 2004》では、こういったクリエイティブの世界から発せられる新たな映像と音楽による表現を追求し、まさに現代的なクリエイターたちの豊かな世界観を提示していきたいと考えています。

「サウンド バイ ヴィジョン 2004」は、2004年9月から12月までの合計約64日間、全国4都市で開催されるプロジェクトです。

■参加アーティストプロフィール(順不同)

◇ Cornelius|コーネリアス(日本)
"フリッパーズ・ギター"解散後、小山田圭吾のソロプロジェクトとしてはじまったのが"コーネリアス"。オーディオ技術を駆使したサウンドは、まさにSOUND X VISION的ともいえるような立体感あふれる様相を呈している。


◇ Buffalo Daughter|バッファロー・ドーター(日本)
'93年に結成された、ギター・ボーカルのシュガー吉永と、ベース・キーボード・ボーカルを担当する大野由美子、ターンテーブル奏者でアルバムのアートワーク等も行うムーグ山本の3名からなる"バッファロー・ドーター"。ナチュラルでドライブ感あふれるバンドサウンドを提供している。
◇ Jan Jelinek|ヤン・イエリネック(ドイツ)
"ファーベン"、"グラム"名義で、エレクトロニカの代表格とも呼べるようなアルバムを発表するヤン・イエリネック。電子音楽でありながら、レコードやジャズの雰囲気をも有する、新しく懐かしいサウンドを提示し続けている。
◇ Snd|エスエヌディ(イギリス)
イギリスのシェフィールドを拠点とするサウンド・プロジェクトがSND。マット・スティールとマーク・フェルの2名によるユニットとして、クリック・テクノと広く称されている。また、シェフィールドで開催された電子芸術の祭典"LOVE BYTES"や、海外のフェスティバル等でもキュレーション活動を行っている。
◇ Funkstrung|ファンクストロング(ドイツ)
ビョークやウータン・クランをはじめ数々のリミックスを手掛け、ドイツ・エレクトロニカ/IDM界の重鎮として君臨するファンクストロング。ミヒャエル・ファケシュとクリス・デ・ルカの2人によるエクスペリメンタル・テクノ・ユニットとして知られ、NYのラッパーやボーカリスト等多数のアーティストが参加したアルバム『Disconnected』を2004年春に発表したばかり。
◇ Rechenzentrum|レチェンツェントラム(ドイツ)
'97年の"Documenta X"をきっかけに、サウンド担当のマーク・ヴァイザーとヴィジュアル担当のリレヴァンにより結成されたレレチェンツェントラム。2003年に発表されたアルバム『Director's Cut』が、電子音楽、VJや映像など多方面から注目を集めた。
◇ Alva Noto a.k.a. Carsten Nicolai|アルバ・ノトa.k.a. カールステン・ニコライ(ドイツ)
ポストテクノ|音響の世界のみならず、現代美術やメディアアートといった多彩な領域で評価されるアーティスト。レーベル"ラスターノトン"の主催者であり、"ノト/アルバノト"名義でのサウンド制作者。近頃では池田亮司とのユニット".cyclo"や、坂本龍一とのコラボレートなども行っている。
◇ Patrick Pulsinger|パトリックパルシンガー(オーストリア)
旧東ドイツから幼少期にオーストリアへ亡命し、'93年に自らのレーベルを設立。"B-Low" "iO" "Sluts'n'Strings&909"等のユニットで知られるパトリック・パルシンガー。ジャズ/ブレイクビーツ/ミニマル/ローファイ/コラージュ等、ジャンルを縦横無尽に横断するトラックを制作している。
◇ TELCOSYSTEMS|テルコシステムズ(オランダ)
ルーカス・ヴァン・ダー・ヴェルデンとギデオン・キアーズの2人によるリアルタイム・オーディオ・ヴィジュアル・ユニット。コンピュータテクノロジーに近づきながら、音楽と映像を分離して思考するのではなく、ひとつのメディアとして扱い制作を行う。またオランダで開催される電子音楽のイベント"SONIC ACTS"のオーガナイザーとしての顔も持つ。
◇ PARDON KIMURA|パードン木村(日本)
ヤン富田をプロデューサーに迎えたデビューアルバム『Locals』、『Ocean Surfer Cool Dad Building Shop Surfboards』、KAMA AINAこと青柳拓次の『Bonjor Hawaii』のリミックス『FROZEN HAWAII』、リトル・テンポの土生"TICO"剛との共作『Ticpa Stylee』などをリリースするほか、菊地成孔、坪口昌恭、外山明、HONZI、生意気、DJ QUIETSTORMらが参加する3枚目のソロアルバム『SILLY WAKE』を2004年春に発表した。
◇ Enlightenment|エンライトメント(日本)
ヒロ杉山、三嶋章義、鈴木シゲルの3人から成る"エンライトメント"は、フリーペーパー『TRACK』ほか多数のメディアをリリースするデザイン・レーベル。広告、雑誌、音楽関連など多方面で活躍するほか、テイ・トウワ、最近では、細野晴臣、高橋幸宏によるユニット・スケッチショウのヴィジュアライゼーション等で知られる。
◇ Motohiko Odani|小谷元彦(日本)
彫刻をバックグラウンドに、立体作品や映像作品などさまざまなメディアを複合させた作品を発表する現代美術作家・小谷元彦。『Phantom Limb』『Dou ble E dged of Thought』、そして2001年のイスタンブール・ビエンナーレで発表された『9th room』では、映像とサウンドを駆使した体感型インスタレーションを発表。また2003年のヴェネチア・ビエンナーレでは映像作品『Rompers』も発表した。
◇ Naohiro Ukawa|宇川直宏(日本)
MOM/N/DAD PRODUCTIONS主宰。VJ、グラフィックデザイン、文筆業など、メディアレイピストという肩書きが示す通り、その活動は、複雑かつ多岐に渡る。ボアダムス、スーパーカー、ギターウルフ等のミュージッククリップのディレクションほか、ロンドン・バービカンアートギャラリーで開催された「JAM展」をはじめ、数々の国際的な展覧会にも参加している。
◇ groovisions|グルーヴィジョンズ(日本)
1993年より活動を始動。グラフィックを中心に、プロダクト、インテリア、ファッションなど、幅広い分野で活動するデザイン・グループ。タレント『chappie』のマネージメントも行なう彼らの作品には、どこかサウンドや現代アートを重視したデザイニングを感じ取ることが出来るだろう。
◇ Marok [Lodown]|マロック[ローダウン] (ドイツ)
'95年に創刊したドイツでも珍しいスケート・カルチャー誌『LODOWN』の編集長であり、グラフィックデザイナーとしての顔も持つマーロック。ストリートというテイストを活かして編集された『LODOWN』は、現在日本やイギリス等各国で話題を呼んでいる。
◇ karl kliem [Dienststelle/Meso]|カール・クリーム[デイーンストステーレ/メゾ](ドイツ)
ドイツはフランクフルトに位置し、ソフトウェア/ハードウェア制作からTV CM等、音・映像を問わず制作するデジタルコンテンツ/プロダクト制作集団MESO。そこに所属するカール・クリームは、サウンドに呼応するソフトウェアシステムの他、現在までにヤン・イエリネック、カールステン・ニコライ、SND等の映像制作を手がけている。
◇ Dextro|デクストロ(オーストリア)
オーストリアを拠点に、先鋭的かつ緻密なデジタルグラフィックデザイン、インタラクティヴなモーショングラフィックを制作するクリエイター。生物の細胞や昆虫などの形状、あるいはそれら自然の中に見出される動きなどをデスクトップ上で再現するような作品群は、テクノやエレクトロニカ系クリエイターから支持されている。
■参考作品出展 (Reference Deck)

◇ Kouta Ono|小野 浩太
映像作家。アナログ機材を複数使用し映像素材を幾重にも組みあわせることにより万華鏡の中を覗き込んだかのような有機的で美しいミニマムな世界を描き出す。ハプニングなどの事象を直接映像に混ぜ合わせることにより、より異形な映像世界を生み出す。
PV:calm 「noon at the moon」 computer soup:dream mons」(sampless+山辺圭司 <los apson> との共作)など。 minamo(cubicmusic)  棗<なつめ>(Noble)などのlive映像を手掛ける。映像と音のパフォーマンスグループ neon innのメンバーでもある。美術展として原美術館《Sound Garden at Hara Museum》(2002年9月)、neon inn企画展《visitors》、360° Records Exhibition《7songs展》(2004年7月)
website:http://www014.upp.so-net.ne.jp/book_life/


◇ Karl Kliem[Dienststelle/Meso] |カール・クリーム
ドイツはフランクフルトに位置し、ソフトウェア/ハードウェア制作からTV CM等、音・映像を問わず制作するデジタルコンテンツ/プロダクト制作集団MESO。そこに所属するカール・クリームは、サウンドに呼応するソフトウェアシステムの他、現在までにヤン・イエリネック、カールステン・ニコライ、SND等の映像制作を手がけている。
◇ Ryoichi Kurokawa|黒川良一
1978年生まれ。ビデオインスタレーションやビデオワークを国内外で発表。オランダ、イギリス、スイス、フランスなどのフェスティバルに招聘され、高い評価を得る。2003年DVD/CD『COPYNATURE』をリリース。またSKETCH SHOWのライヴ・ヴィジュアルを担当し、ライブDVD『Wild Sketch Show』をディレクション。2004年には細野晴臣+坂本龍一+高橋幸宏によるグループHuman Audio Sponge の"sonar04"公演の映像も手掛ける。9月には新作のDVD/CD『READ』をリリース。
◇ Masakatsu Takagi|高木正勝
1979年生まれ、京都府在住。映像と音楽双方の制作を等価に手がけ、質の高い融合により注目を集めるアーティスト。国内外のレーベルからCD/DVDをリリースすると同時に、アートスペースでのビデオ・インスタレーションや世界各地でのライブなど、分野に限定されない多様な活動を展開している。最近では、デヴィッド・シルヴィアンのワールドツアーへの参加やバルセロナでのライブ出演など、ますます国際的な評価が高まっている。現在、デザイナーの皆川明、ダンサーの上村なおかとの恊働でダンス作品を制作中(11月6日、7日青山スパイラルホールにて初演)。
website:http://homepage.mac.com/utono
◇ ポータブルコミュニティ|portable[k]ommunity
展覧会/Exhibitions: 2004「リアクティヴィティ―反応=再生する可能性」ICC、東京 「Game Commons」,Yarba Buena Center for the Arts,San Francisco,CA」, 2003 Sónar 2003, Sonar Cinema,Barcelona,Spain 2002「urbanlenz」TN Probe、東京
パフォーマンス/Performances 2002「please」TN Probe、東京 「Tokyo Art Jungle」東京国際フォーラム、東京 「Port」大阪築港・赤レンガ倉庫、大阪「Farmers Manual Presentation Live」THINK ZONE、東京 「sonar sound tokyo」ThinkZone、東京 「電子芸術国際会議ISEA2002」名古屋ダイヤモンドホール、愛知 「exchange ATAK001slipped disk」MANIACLOVE、東京「Open Mind」THINK ZONE、東京 2001「extension  of ubique」表参道CAY、東京 「OVA」表参道CAY、東京 「Freq-プログラムが表現する音と映像」九州芸術工科大学(現九州大学)、福岡 2000「portable[k]ommunity Ver0.55」京都大学西部講堂、京都
◇ Jan Van Nuenen|ヤン・ヴァン・ヌーネン
1978年Gilze(オランダ)生まれ。サンプリング、ミニマリズムとも言うべきデジタル時代を代表する作品を数多く発表するアーティスト。過去に、「Shorts!」( International short film festival, winnaar “digital competition” 2003)、 European media arts festival Osnabrueck(special mention “for innovative use of new media”.2003)など、多くのコンペティション・フェスティバルで注目を集める、オランダを代表するデジタルビデオアーティスト。

※その他の開催会場
■仙台開催 (共催:せんだいメディアテーク)
10月8日(金)〜10月17日(日)
せんだいメディアテーク[SMT] /入場無料

■山口開催 (共催:山口情報芸術センター)
11月3日(水)〜11月23日(火)
山口情報芸術センター[YCAM] /入場無料

■東京開催
12月3日(金)〜12月12日(日)
ラフォーレミュージアム原宿 /入場料:1000円(予定)

[SOUND×VISION 2004 運営体制]
主催:サウンド バイ ヴィジョン 2004 事務局(ガスアズインターフェイス株式会社内)
共催: graf, せんだいメディアテーク, 山口情報芸術センター
後援:株式会社FM802(大阪開催)他
協賛:株式会社ビームス, ディーゼルジャパン株式会社, パイオニア株式会社
技術協賛:エプソン販売株式会社, 株式会社エムオーディオジャパン, 東北パイオニア株式会社
商品協力:クアーズジャパン株式会社
協力:ソニーコミュニケーションネットワークコーポレーション, SOUND&RECORDING MAGAZINE, SHIFT,
   株式会社エスクァイア マガジン ジャパン
ディレクション・コーディネーション:針谷周作(SALON)
技術協力:YCAM InterLab
会場構成:TRICO DESIGN LOVE! (トリコデザイン研究所)>> www.bytrico.com
会場制作協力:graf, 株式会社 布
イベントパートナー:SONIC ACTS