あたりまえのこと、例えば日々の食事は誰でもがしていることです。また空気も目にみえませんが、それでも吸っていないといけないのです。
こうした日々のなんでもない、あたりまえのことを意識の中に持ち込むことで、いろいろの場面や状況に、新鮮な輝きを持たしてくれるのが美術ではないかと思っています。
この「五つのお願い」も、日常生活の中にある玉や四角の形、道端のふみつぶされたあき缶、安全標識のトラテープ、そして日々目にする色という、ありふれたものを意識の中に取り込むことで、生活の場が世界の場ともリンクされてくる。単純なことも、くりかえしていくと、今までみえなかった生活空間が新しいひびきと輝きを持ってくる、そう信じて僕自身この行為をくりかえしています。
今回は日本中の各所に参加をお願いしております。ひとつのリンゴを手にした時、あ! これは堀尾の作品に参加した、と思っていただければ、その時玉連動の作品が誕生いたします。四角の本を手にした時に四角連動、あき缶をふみつけるとあつ缶連動、そしてトラマークの安全標識をみたらその場にも堀尾の作品が。同様に日々の美しい色、森羅万象における諸々の色についても、精神で色塗りすることが出来ると考えております。
だまされたと思って皆さんも実際に新聞一枚ひとつまるめてもらえれば、即芸術家です。

2002. S. Horio

「堀尾貞治 あたりまえのこと(五つのお願い聞いてよね)」
期間:2002年8月6日(火)-8月31日(土) 場所:gm (graf bld.5F)
開館時間:12:00pm - 20:00pm  第1・第3月曜日定休

「堀尾貞治展 あたりまえのこと」
2002年7月20日(土)-9月1日(日) 芦屋市立美術博物館 http://www.ashiya-web.or.jp/museum/

堀尾貞治展に関して

堀尾にとって生きることは、「日々、創造」である。

芦屋市立美術館での彼のパフォーマンスを観て、そう感じた。
今回の展覧会のタイトル「あたりまえのこと」とは「日々、如可に創造しているか」
ということを堀尾に皆が問われている、ということではないか。

「毎日、あなたたちは何を創造していますか?」

すなわち、それが堀尾の言う「アート」である。
堀尾は美術館ですべてのものに魂をぶつけている。
それもほぼ毎日・・・。
子供たちは、喜々として参加して喜んでいるが大人になったら、この展覧会の意味が
判るときが来るであろう。

grafで行う今回の企画もまた然り、である。
grafのスタッフ、お客さん、取引先の方々等々・・・。
そこに日々、一緒に創造出来るものが加わったら、どんなに毎日ワクワク出来ることか。

堀尾はパフォーマンスの時にしきりにメッセージを発信する。

「あたりまえのこと」

それ以上は口には出さないが、彼は、こう言いたいのだろう。

「あたりまえやん。生きてるんやろ!」

今回の企画が、皆さんの創造を刺激する展覧会であることを楽しみにしています。
ぜひ、一緒に参加してみて下さい。

(文中敬称略)
graf 増地 孝泰